皆さんは歯ぎしりをしますか?
そう聞かれたところで、自分ではなかなか気づけませんよね。
旅行中などで人から指摘されて、初めて自分が歯ぎしりをしている事を知ったという人もいるのではないでしょうか?
実は歯ぎしりは誰にでも見られる現象なのです。
睡眠中、健康な人でも疲れている時は、ひと晩に1度くらいはするそうです。
でもそれが毎晩の事だったら、放っておいてはいけないかもしれません。
怖い病気に発展する可能性もあるそうです。
ここでは、注意しなければならない歯ぎしりとその改善策と予防についてご紹介します。
目次
知っていますか? 歯ぎしりのタイプは3つ!

歯ぎしりと言えば、一般的には寝ている時にギリギリと鈍い音を立てるものだと思いますよね。
調べてみると歯ぎしりにも、いくつかタイプがある事がわかりました。
グラインディング
これは上下の歯をこすり合わせる歯ぎしりです。
ギリギリと鈍い音を立てるのはこのタイプです。
強い力でこすり合わせるので、歯が異常にすり減り歯根が折れてしまう事もあるそうです。
タッピング
上下の歯をリズミカルにカチンカチンと鳴らすタイプの歯ぎしりです。
聞きなれない音なので、初めて聞く人は何の音かわからず驚くかもしれません。
グラインディングよりは歯への影響が少ないと言われています。
クレイチング
これは上下の歯を強く噛みしめるタイプの歯ぎしりです。
音がしないので気づくのが遅れがちになってしまいます。
歯を強く噛みしめているので、歯茎に負荷がかかるだけではなく肩こりや頭痛の原因になる事もあります。

- グラインディング…歯をギリギリとこすり合わせる
- タッピング…上下の歯をリズミカルに鳴らす
- クレイチング…上下の歯を強く噛みしめる
なぜ歯ぎしりが起こるの?

そもそもなぜ歯ぎしりが起こるのでしょう?
実のところ、歯ぎしりの原因はいまだはっきりとは解明されていません。
しかし、次の要因が考えられるそうです。
噛みあわせの悪さ
歯ぎしりは歯並びの良い人にも起きる事がありますが、
噛み合わせが悪いと歯と歯の摩擦がより大きくなり、それが歯ぎしりの原因になるのではと言われています。
ストレス
睡眠中に歯ぎしりが起きやすいのはレム睡眠(浅い眠り)時だと言われています。
ストレスが多い心理状態は眠りを浅くしてしまうので、歯ぎしりが起きやすくなると考えられています。
過度の飲酒、カフェイン
アルコールやカフェインも眠りを浅くしてしまいます。
過度の飲酒やカフェインの摂りすぎは歯ぎしりが起きやすくなります。
逆流性食道炎
最近の調査で、逆流性食道炎と歯ぎしりの関係がわかってきました。
逆流性食道炎になると寝ている時に胃酸が口腔内に戻る事があります。
そのため口の中が酸性になってしまうのです。
歯ぎしりをすることで唾液の分泌を促し、口の中が酸性にならないようにしているのではないかと考えられています。

- 噛み合わせの悪さから歯と歯の摩擦が起きる
- ストレスが睡眠を浅くする
- アルコールやカフェインの摂りすぎ
- 逆流性食道炎との関係
放っておいても大丈夫? 歯ぎしりが体に与える悪影響はあるの?

主に寝ている時にしか起こらない歯ぎしりは、
発見されにくい上に重要視されない事が多いのではないでしょうか?
調べてみると歯ぎしりが原因で引き起こされる病気がいくつか見つかりました。
たかが歯ぎしりと放っておくと大変な事になるかもしれません。
頭痛、肩こりの原因になる
歯ぎしりによって顎の付近に過剰な負荷がかかると、それらに付随している筋肉に炎症を起こすことがあります。
これが、頭痛や肩こりの原因となる事が考えられています。
歯周病の悪化につながる
歯ぎしりの噛みしめる強さは思いがけない程強いものです。
過剰な負荷が歯根や歯茎にかかると、顎の骨にも影響を及ぼします。
結果、歯がぐらつき歯と歯茎に隙間が出来る事で細菌が繁殖しやすくなると言われます。
これが歯周病を悪化させるのです。
顎関節症になりやすくなる
顎関節症とは、耳の前にある顎関節に痛みが起こり、口があけにくくなったりカクカクと音がなったりする症状を言います。
歯ぎしりによって顎を上下左右前後にこすり合わせる事が慢性化すると、
顎関節に負担がかかり顎関節症になる危険があると言われています。
睡眠時無呼吸症候群を引き起こす
睡眠時無呼吸症候群という言葉を耳にしたことがあると思います。
これは眠っている時に呼吸が止まってしまう病気で、
10秒以上呼吸が止まる事をひと晩に30回以上か、1時間に5回以上繰り返す事を言います。
睡眠時無呼吸症候群は、不整脈や糖尿病、高血圧や心不全など様々な病気の原因となります。
歯ぎしりと無呼吸症候群にはっきりとした因果関係はまだ発見されていませんが、
歯ぎしりの後に無呼吸症候群になる事が多いという事はわかってきているそうです。

- 頭痛と肩こり…顎付近に付随する筋肉に炎症を起こす
- 歯周病の悪化…歯ぎしりでぐらついた歯の隙間に細菌が繁殖する
- 顎関節症になる…歯ぎしりが慢性化することで顎関節に負担がかかる
- 睡眠時無呼吸症候群の危険…歯ぎしりの後で睡眠時無呼吸症候群を起こす事が多いと考えられている
もしかして歯ぎしりしている? 簡単な診断方法は?

様々な病気を引き起こす可能性のある歯ぎしりですが、自分ではなかなか気づけないものです。
簡単な診断方法があれば受診するかしないかのきっかけにもなりますよね。
これからご紹介する事柄に心当たりがある方は、歯ぎしり常習者かもしれません!
朝起きた時に顎周辺にこわばりがある
歯ぎしりの歯をこすり合わせる強さは、ガムを噛む時の数倍から10倍ほどもあるそうです。
ですので、朝起きて顎周辺にこわばりや痛みが感じられる方は歯ぎしりをしている可能性があります。
食事の時に口をあけにくい
人差し指、中指、薬指を揃えて縦にして口に入らなければ顎関節症の可能性があります。
慢性的な歯ぎしりが影響しているのかもしれません。
歯に欠けやひびがある
歯ぎしりによって歯を常習的にこすり合わせる事で、歯にもはっきりとした異常が見えてきます。
ぱっと見て気づかない場合もありますので、一度鏡で口の中を見てみましょう。
無意識に歯を噛みしめている
パソコンを使用している時や運転中など、集中したときに無意識に歯を噛みしめていませんか?
起きている時にそのような癖がある人は、歯ぎしりをしているかもしれません。
歯茎に盛り上がった部分がある
歯ぎしりを繰り返すと、歯を支える骨に影響が出てきます。
歯の内側の歯茎部分の骨が盛り上がってきていたら、歯ぎしりをしてる可能性があります。


- 起床時の顎周辺のこわばり
- 食事の時に口をあけにくい
- 歯に欠けやひびがある
- 無意識に歯を噛みしめる癖がある
- 歯茎に骨が盛り上がった部分がある
歯ぎしりしてるかも! 予防と改善策を5つ紹介!!

歯ぎしりの自覚症状がないのに、上の診断でいくつか気になる事がある方はいましたか?
実は、歯ぎしりのメカニズムについてはまだはっきりとした事がわかっていないので、
完治させる事は今のところ難しいんです…。
ですが、これ以上症状を進ませないためにここでは予防策や改善策を5つご紹介していきます。
ぜひ参考にしてくださいね!
ストレスを減らす
ストレスが浅い眠りを誘発してしまう事は前述しましたね。
ストレスを減らす事によって質の良い眠りを得る事は、歯ぎしりの予防に効果的なんです。
何か得意なこと、好きなことに取り組むことでストレスは軽減されます。
趣味なんてないな…なんて方も、ゆっくり入浴したりストレッチを行うだけでも変わってきますよ。
就寝前の時間でリラックスを
これも安眠に関係してきますが、眠る前にリラックスすることが大切です。
ヒーリング効果のある音楽を聴いたり、読書をするなどが良いでしょう。
ゆったりした音楽を聴いたり難しい本を読んでいると自然と眠くなりますね。
アルコールは適量を
「酒を飲むと良く眠れるんだよ~」という人が周りにいませんか?
これは実は逆で、お酒は眠りにつくまでの時間は短くなりますが、覚醒も早めてしまうので睡眠不足を招きます。
歯ぎしりの不安がある方は飲酒はほどほどにしましょう。
マウスピースを使う
マウスピースは就寝時に上下の歯がくっつくことを防止してくれます。
市販品もありますが、歯茎や顎の形状は人それぞれ違うので、
心地よく使うことを考えると歯科医院で作ってもらうことをお勧めします。
虫歯にならないようにする
虫歯や歯周病になる事で歯の噛み合わせが変化してしまいます。
定期的に検診を受け、口腔内の健康を保つことが歯ぎしりの予防につながりますよ。


- ストレスを減らす
- 就寝前にリラックスできる時間を作る
- アルコールは控えめに
- 心配な時は歯科医院に相談する
- 虫歯や歯周病にならないようにする
まとめ
歯ぎしりが思いがけない病気を誘発する可能性がある事がわかりましたね。
なかなか気がつきにくい歯ぎしりですが、
今回ご紹介した
- 歯ぎしりのタイプ
- 歯ぎしりを起こす原因
- 歯ぎしりが引き起こす病気
- セルフ診断
- 改善と予防策
これらの事をもう一度チェックしてみて下さい。
そして少しでも心当たりがあったり、すでに影響が現れている心配がある時は
迷わず歯医者さんで診てもらいましょう。
今のところ特に歯ぎしりの症状がない方も、年に1度は歯科医院で定期健診を受けると安心ですね!